オタクブログはじめました。

漫画アニメラノベの感想を書いていく。注意書きがない場合はネタバレ無しです。

祝完結!『極黒のブリュンヒルデ』読み終えての感想

『極黒のブリュンヒルデ』は岡本倫さんによるダーク・ファンタジー系の漫画です。超能力の登場する世界で主人公が持ち前の頭の良さを生かして戦っていくのが特徴ですね。先日発売された第18巻をもってめでたく完結しました。2014年にはアニメ化もされているので名前は知っている人も多いでしょう。アニメの出来についてはあえて言いませんが。

今回の第18巻は第17巻と同時発売で、その2巻で一気にストーリーが進んで完結となりました。完結することを知らなかったので結構驚きです。正直終盤の流れは無理矢理感が強くてあっけなかったですが、もとより何もかも不条理な世界だったのでこういう結末もありなのでしょうね。個人的にはアニメ化した以降のストーリーで少しのあいだヒロインたちが平和な時間を過ごしている部分が好きでした。キャラも設定も結構ぶっ飛んでいるので、そういうことを気にしない人なら十分楽しめる作品だと思います。アニメを見ていてヒロインたちのその後が気になる人はぜひ読んでみてください。

現在AmazonKindle版では1~5巻までが期間限定無料配信しているので、気になる人はとりあえずそれを読んでみてもいいでしょう。

小畑健×大場つぐみの新作『プラチナエンド』感想

DEATH NOTE』では悪魔と出会った少年の話だったが、今回はそれとは対照的に天使と出会った少年の話。テーマも今回は「幸せ」だそうです。

──ジャンプスクエアに掲載された予告には「幸せになりたいあなたに贈る。」という煽り文が掲載されていました。これがストーリーのキーワードになってくるんでしょうか。

DEATH NOTE」のテーマが「悪」とか「死」だったとしたら、今回は「幸せ」になると思います。主人公の少年が幸せになる過程を描いていく。

大場つぐみ×小畑健「プラチナエンド」特集 担当編集・吉田幸司氏インタビュー (3/4) - コミックナタリー Power Push

f:id:kugelblitz:20160520101824p:plain 自殺しようとした主人公の元に天使がやってくる © SHUEISHA

そんな『プラチナエンド』も基本的には『DEATH NOTE』と同じような知略バトル物です。新鮮な展開を出し惜しみすることなく次々と見せる読み応えのある大場つぐみさんのストーリーは純粋に読者を楽しませてくれます。それに加えてキャラクターを際立たせる小畑健さんのイラストは読者をよりストーリーに引き込みます。良くも悪くもジャンプ系らしいテンプレ設定ですが、この2人にはそれを活かしきれる力があります。彼らの作品を読んできた人には十分進められる作品だと思います。今作の主人公は『DEATH NOTE』の夜神月と比べ、現状ではそこまで特徴もない地味なキャラクターとなっています(まあ夜神月ほど個性的なキャラも少ないでしょうが)。そんな彼が今後どう成長していくのかがポイントだと思います。個人的にはひと癖ありそうなヒロインにも注目しています。まだまだおもしろい展開が十分期待できる作品です。

DEATH NOTE』、『バクマン。』と続いてきた今作もほぼ映像化確実という感じでしょうし、気になる方はぜひ読んでみてください。

『三者三葉』から失われた日常

※この記事には日常アニメを愛するあまりの過激な発言が含まれています。著者も三者三様はもちろん好きですが、三者三様を純粋に楽しんでいる人には不快かもしれません。ご注意ください。

現在絶賛放送中のアニメ『三者三様』。その魅力は、タイトルの通り『三者三葉』の特徴的な個性のキャラクターです。元お嬢様で現在は貧乏毎日パンの耳生活な葉子様と腹黒委員長な照ちゃん、胃袋ブラックホールな双葉のマイペースな3人が集まる化学反応で大騒ぎな日々で話は進んでいきます。制作は動画工房さんで、キャラの動きがかわいいです。原作の漫画は第1巻だけ読みましたが、原作とアニメは結構雰囲気の違う感じで(13年も連載してるので当然ですが)、アニメーション作品として上手く昇華できていると思います。

ここからが本題。では失われた日常とは何なのか?ここで言う日常とは、アニメ『ゆゆ式』に代表される「ノーイベント グッドライフ」な日常。つまり、僕達視聴者目線でのイベントではない彼女たちのほんとうの意味での日常です。以下の『ゆゆ式』原作者インタビューでの一節でその意味を垣間見ることが出来ます。

アニメでいえば最初のスタッフさんとの意識調整の時に「この子たちの世界にはカメラはないです」という話をしました。客観的な第三者が覗いていて、それを意識するような言動はさせないでくださいと。この子たちには私たちのことは見えていませんからね。この子たちは芸人ではないので、僕らに対して笑いを取りに行っているわけじゃなくて、3人が話している中で、他の2人が笑ってくれるかどうかが大切なんです。

『ゆゆ式』を作り上げた大切なキーワードとは | アニメイトタイムズ

その意味で言って『三者三葉』第1話での3人の出会いからの一緒に昼食を食べる話は本当に良く出来ていました。このまま毎週3人のなんでもない昼食シーンが見れるなら相当素晴らしい作品になると確信していたほどです。

f:id:kugelblitz:20160518235912j:plain 3人の出会いのシーン © 荒井チェリー芳文社三者三葉製作委員会

だからこそ2話以降のイベントづくしのストーリーは頂けなかった。やたらとライバル視してくるキャラクターの登場は僕としては「普通」の日常からは外れたものと認識されました。特に照ちゃんの姉のゲテモノ料理を作る葉山光の登場は明らかに視聴者向けとしての傾向が強いことがわかるでしょう。1話での山路、3話での園部さんの登場は葉子様のお嬢様設定に付随する設定として彼女たちの日常だとして受け入れていましたが、これに関してはさすがにどうすることも出来ないものでした。

確かに、沢山のイベントがありキャラクター達の動きも大きいエピソードがあれば視聴者としてはそれを楽しくも思えるでしょう。しかし、彼女たちの日常はどうでしょう?2人と出会って葉子様の学校での昼食はかけがえのない楽しみなものになっていたと思います。けれどもそんなささやかな日常はインパクトが薄いと切り取られ、作品としての『三者三葉』からは失われてしまったのです。こうして『三者三葉』はいわゆる普通の「日常アニメ」に成り下がり、彼女たちはその世界で生きるキャラクターから僕達視聴者向けのストーリーで動く人形となってしまいました。この悲しみをわかってくれる人がいることを僕は願っています。