オタクブログはじめました。

漫画アニメラノベの感想を書いていく。注意書きがない場合はネタバレ無しです。

『天気の子』を見てとりあえずいろいろ書く(ネタバレあり)

まず僕は、新海誠監督の作品は『君の名は。』で初めて見たクチ。オタクだから入れ替わりも好きだしSFっぽいのも好きだし自分の好みにどストライクだった。『天気の子』はPVを見て、「まあまあ良さげだな」という気持ちで見に行った。

最初にこれを言っておかないとたぶん面倒なことになるので言うと、やっぱり声優は全体的に残念感があった。その分カナとアヤネが浮いてて笑ってしまったけど。あとこれは完全に僕の好みの話だけど瀧君たちを出しすぎな感が強かった。もうちょっと気づかないレベルで出しても良かったのでは。

個人的に一番好きだったシーンは気象学者の人が取材を断るけど、結局熱く語ってるシーン。『君の名は。』でも勅使河原が隕石湖について語ってたけど、こういうロマンを求める男の気持ちってのが良い。作品全体としてもそういう雰囲気が漂ってるのが分かると思う。

映画の全体的な話に移ると、ストーリーはセカイ系としてよくまとまってたと思う。子供と大人という対比があらゆるシーンで表現されていて、『新世紀エヴァンゲリオン』だとか『イリヤの空、UFOの夏』などの系譜に連なる作品として数えられる印象。過去作の『ほしのこえ』(見てない)にも近いのかな?そういった、子供が大人に見せる自立心という大枠の中に、オタクの妄想要素を詰め込んでいるあたりに2000年代の雰囲気がプンプンしてくる。当然そうなると社会風刺の要素も結構入ってきていて、東京水没なんかはとてもわかり易い地球温暖化に対するメタファーだった。こんな世界にしたのは大人たちなのにそれを知らんぷりして子供に押し付ける。そんな世の中に対する新海誠監督なりのアンサーが「狂ったままで良いんだ」ということなんだろうね。この物語の中ではわりと多くの転換点があるけど、そんなときに決断を下すのはいつも帆高だった。陽菜が年下だったことが後に明かされたときの「俺が一番年上じゃねえか」ってセリフは、帆高の成長のワンシーンとして記憶に残っている。陽菜は帆高の成長の要素となるひとつのピースだというのもこの作品らしい構成だと思う。 最初はあてもなく家出をした少年が、ひと夏の冒険を通して青年になっていくストーリーをそれなりにちゃんとまとめられていて、こう振り返ってみると、オタク的妄想要素を取り入れながら少年の成長をしっかり描いた良作だった。

小説 天気の子 (角川文庫)

小説 天気の子 (角川文庫)

  • 作者:新海 誠
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/07/18
  • メディア: 文庫